
衝撃の現実:10社中9社はDXで失敗している
「うちの会社もDXを進めなくては…」そう思っている企業は多いでしょう。しかし、実際に成功している企業はどれくらいあるでしょうか?
答えは、わずか7%です。
アビームコンサルティングの調査によると、年間売上1,000億円以上の大企業でも、DXで成果を出せている企業は10社中1社にも満たないのが現実です。
つまり、93%の企業がDXで期待した効果を得られていないということになります。
なぜこんなに失敗率が高いのか?
多くの企業が陥る「失敗の3大要因」があります。
1. 目的がはっきりしていない
「とりあえずDXをやらなければ」という曖昧な理由で始めてしまう。何のために、どこまで改善したいのかが不明確。
2. 人手不足で進まない
IT人材が圧倒的に不足。責任者も不在で、誰がリードするのかもわからない状態。
3. 失敗を恐れる文化
「失敗したら責任を取らされる」という雰囲気で、誰も積極的に取り組もうとしない。
では、成功する7%の企業は何が違うのでしょうか?
成功企業だけが知っている5つのステップ
成功している企業には共通のやり方があります。それが以下の5つのステップです。
Step 1: まずは現状を数字で把握する
成功企業がやっていること
「なんとなく非効率」ではなく、具体的な数字で現状を把握しています。
具体的にやること
- 時間を測る: 各作業に実際どれくらい時間がかかっているか計測
- ミスを数える: どんなミスが何回起きているか記録
- コストを計算: その作業にいくらお金がかかっているか算出
- 現場に聞く: 実際に作業している人に困っていることを聞く
実際の例
ある会社では「承認業務」を調べてみると:
- 1つの承認に平均30分
- 月に200件の承認
- つまり月100時間(人件費25万円相当)
- さらに承認待ちで売上機会を月500万円逃していた
これで経営陣も「改善が必要だ」と納得しました。
Step 2: 効果の大きいところから手をつける
成功企業がやっていること
「簡単だから」ではなく「効果が大きいから」という理由で優先順位を決めています。
3つの判断基準
- 効果の大きさ: どれくらいコスト削減・時間短縮できるか
- 実現の簡単さ: どれくらい簡単に導入できるか
- 将来への影響: 将来の成長にどれくらい役立つか
優先順位の付け方
効果 × 重要度 \ 実現の簡単さ | 簡単 | 難しい |
---|---|---|
大きい × 重要 | 今すぐやる | 計画的に進める |
大きい × 普通 | 早めにやる | 様子を見る |
小さい × 重要 | 余裕があればやる | やらない |
実際の例
- 今すぐやる: 契約書の電子化(効果大・簡単・重要)
- 計画的に進める: 顧客データの統合(効果大・難しい・重要)
- やらない: 社内チャットツール導入(効果小・難しい・普通)
Step 3: 将来も使える技術を選ぶ
成功企業がやっていること
「今だけ」ではなく「3年後も使える」技術を選んでいます。
選ぶときのポイント
- 拡張しやすいか: 後から機能を追加できるか
- 他のシステムと連携できるか: 既存システムと連携できるか
- サポートは十分か: 困ったときに助けてもらえるか
- コストは適正か: 導入・運用コストが予算内か
避けるべき選択
❌ 「安いから」という理由だけで選ぶ
❌ 「有名だから」という理由だけで選ぶ
❌ 「営業マンが良い人だから」という理由で選ぶ
良い選択の例
✅ 将来の業務拡大に対応できる
✅ 他部署でも使い回せる
✅ 操作が簡単で教育コストが低い
Step 4: 小さく始めて徐々に広げる
成功企業がやっていること
「一気に全社導入」ではなく、段階的に進めています。
3段階での進め方
第1段階(1-2ヶ月): お試し導入
- 協力的な部署の10-20名で試す
- 毎日フィードバックを聞く
- 問題があればすぐ修正
第2段階(3-6ヶ月): 部署展開
- 関連部署全体(50-100名)に拡大
- 研修制度を整備
- サポート体制を構築
第3段階(6-12ヶ月): 全社展開
- 全社員に展開
- 継続的な改善体制を確立
なぜ段階的にやるのか?
- リスクが少ない: 失敗しても被害が小さい
- 改善しながら進められる: 問題を見つけて修正できる
- 現場の協力が得やすい: 無理やり押し付けない
Step 5: 効果を測って改善し続ける
成功企業がやっていること
「導入したら終わり」ではなく、継続的に改善しています。
測るべき3つの指標
1. 時短効果
- 作業時間がどれくらい短くなったか
- 処理件数がどれくらい増えたか
2. 品質向上
- ミスがどれくらい減ったか
- 顧客満足度がどれくらい上がったか
3. コスト削減
- 人件費がどれくらい削減できたか
- システム運用コストはいくらかかっているか
継続改善のサイクル
- 数字をチェック: 月1回効果を測定
- 問題を見つける: うまくいっていない部分を特定
- 改善案を考える: どうすれば良くなるか検討
- 実行する: 小さな改善から実施
- また測る: 改善効果を確認
まとめ:成功する7%に入るために
93%の企業が失敗する中で、成功企業になるための5つのポイントは:
- 現状を数字で把握する → 曖昧な判断をしない
- 効果の大きいところから始める → 優先順位を明確に
- 将来も使える技術を選ぶ → 長期的視点で判断
- 小さく始めて徐々に広げる → リスクを最小化
- 効果を測って改善し続ける → 継続的に価値向上
最初の一歩を踏み出そう
まずはStep 1の現状把握から始めてみませんか?
- 主要な業務の作業時間を1週間計測してみる
- 月に何回ミスが起きているか数えてみる
- その作業にかかっているコストを計算してみる
これだけでも、多くの「気づき」があるはずです。
次回予告
この記事では5つのステップの概要をお伝えしました。次回以降、各ステップをより詳しく解説する予定です:
- 【Step 1詳細版】現状把握の具体的な方法とツール
- 【Step 2詳細版】優先順位決定の実践的フレームワーク
- 【Step 3詳細版】技術選定で失敗しないチェックリスト
お困りのことがあれば
DX推進でお悩みの企業様には、現状診断から改善提案まで、ご相談をお受けしています。まずはお気軽にお声がけください。

西村 力也
代表取締役
2002年からWeb制作・システム開発に従事。React、Next.js、TypeScriptを中心としたモダンなフロントエンド開発の専門家。AI検索最適化(AIO)の先駆者として、ChatGPT、Perplexity等のAI検索エンジン対応を推進。三重県津市を拠点に、東海地方の企業様のデジタル変革を支援しています。
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