
1. AIペアプログラミングとは?Cursor AIやClaude Codeの登場
近年、AIペアプログラミングという新しい開発手法が注目を集めています。Cursor AIやClaude Code、GitHub Copilotなどのツールを使えば、プログラミング初心者でも驚くほど簡単にアプリケーションを作成できるようになりました。
AIペアプログラミングの仕組み
AIペアプログラミングツールは、自然言語での指示(プロンプト)を受け取り、それに応じたソースコードを自動生成します。まるで経験豊富なエンジニアが隣に座ってサポートしてくれるかのような体験ができます。
主要なツール:
- Cursor AI:VSCodeベースのAIエディタ
- Claude Code:Anthropic社のClaude AIを活用した開発ツール
- GitHub Copilot:GitHub製のコード補完AI
社内で突然「アプリを作って」と命じられた非エンジニアの方でも、これらのツールがあれば開発を始められます。
2. To-Doアプリを作ってみよう:実践プロンプト例
それでは実際に、AIを使ってシンプルなTo-Doアプリを作成してみましょう。
基本的なプロンプト例
シンプルなTo-Doリストアプリを作成してください。
以下の機能が必要です:
【必須機能】
- タスクの追加
- タスクの完了チェック
- タスクの削除
- ローカルストレージでのデータ保存
【技術仕様】
- HTML、CSS、JavaScriptのみで実装
- フレームワークは使用しない
- レスポンシブデザイン対応
- シンプルで見やすいUI
【デザイン要件】
- 明るく清潔感のある配色
- モダンなフラットデザイン
- スマートフォンでも使いやすいサイズ感
より詳細なプロンプト例
To-Doリストアプリケーションを作成してください。
【機能要件】
1. タスク管理
- 新規タスクの追加(テキスト入力)
- タスクの完了/未完了の切り替え
- タスクの削除
- タスクの編集機能
2. フィルター機能
- すべてのタスク表示
- 未完了タスクのみ表示
- 完了済みタスクのみ表示
3. データ永続化
- ブラウザのローカルストレージに保存
- ページリロード後もデータが残る
【技術スタック】
- Pure JavaScript(フレームワーク不使用)
- CSS3(FlexboxまたはGrid使用)
- HTML5
【UI/UX要件】
- タスク追加はEnterキーでも可能
- 完了タスクには取り消し線
- ホバー時のインタラクション
- タスクがない場合の空状態表示
【コード品質】
- 関数は単一責任の原則に従う
- 変数名は分かりやすく命名
- コメントで主要な処理を説明
3. 生成されたソースコードの事例
上記のプロンプトをAIに入力すると、以下のようなコードが生成されます。
HTML構造(index.html)
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<title>シンプルTo-Doリスト</title>
<link rel="stylesheet" href="style.css">
</head>
<body>
<div class="container">
<h1>📝 My To-Do List</h1>
<!-- タスク入力エリア -->
<div class="input-area">
<input type="text" id="taskInput" placeholder="新しいタスクを入力...">
<button id="addBtn">追加</button>
</div>
<!-- フィルターボタン -->
<div class="filter-buttons">
<button class="filter-btn active" data-filter="all">すべて</button>
<button class="filter-btn" data-filter="active">未完了</button>
<button class="filter-btn" data-filter="completed">完了済み</button>
</div>
<!-- タスクリスト -->
<ul id="taskList"></ul>
<!-- 空状態 -->
<div id="emptyState" class="empty-state">
<p>タスクがありません</p>
</div>
</div>
<script src="script.js"></script>
</body>
</html>
JavaScript実装(script.js)
// タスクデータを管理
let tasks = JSON.parse(localStorage.getItem('tasks')) || [];
let currentFilter = 'all';
// DOM要素の取得
const taskInput = document.getElementById('taskInput');
const addBtn = document.getElementById('addBtn');
const taskList = document.getElementById('taskList');
const filterBtns = document.querySelectorAll('.filter-btn');
const emptyState = document.getElementById('emptyState');
// 初期化
document.addEventListener('DOMContentLoaded', () => {
renderTasks();
});
// タスク追加
addBtn.addEventListener('click', addTask);
taskInput.addEventListener('keypress', (e) => {
if (e.key === 'Enter') addTask();
});
function addTask() {
const text = taskInput.value.trim();
if (text === '') return;
const task = {
id: Date.now(),
text: text,
completed: false,
createdAt: new Date().toISOString()
};
tasks.unshift(task);
saveTasks();
renderTasks();
taskInput.value = '';
}
// タスク削除
function deleteTask(id) {
tasks = tasks.filter(task => task.id !== id);
saveTasks();
renderTasks();
}
// タスク完了切り替え
function toggleTask(id) {
const task = tasks.find(t => t.id === id);
if (task) {
task.completed = !task.completed;
saveTasks();
renderTasks();
}
}
// フィルター切り替え
filterBtns.forEach(btn => {
btn.addEventListener('click', () => {
filterBtns.forEach(b => b.classList.remove('active'));
btn.classList.add('active');
currentFilter = btn.dataset.filter;
renderTasks();
});
});
// タスク描画
function renderTasks() {
const filteredTasks = getFilteredTasks();
if (filteredTasks.length === 0) {
taskList.style.display = 'none';
emptyState.style.display = 'block';
return;
}
taskList.style.display = 'block';
emptyState.style.display = 'none';
taskList.innerHTML = filteredTasks.map(task => `
${escapeHtml(task.text)}
削除
`).join('');
}
// フィルタリング
function getFilteredTasks() {
switch(currentFilter) {
case 'active':
return tasks.filter(t => !t.completed);
case 'completed':
return tasks.filter(t => t.completed);
default:
return tasks;
}
}
// ローカルストレージ保存
function saveTasks() {
localStorage.setItem('tasks', JSON.stringify(tasks));
}
// XSS対策
function escapeHtml(text) {
const div = document.createElement('div');
div.textContent = text;
return div.innerHTML;
}
スタイル(style.css)
* {
margin: 0;
padding: 0;
box-sizing: border-box;
}
body {
font-family: 'Segoe UI', Tahoma, Geneva, Verdana, sans-serif;
background: linear-gradient(135deg, #667eea 0%, #764ba2 100%);
min-height: 100vh;
padding: 20px;
}
.container {
max-width: 600px;
margin: 0 auto;
background: white;
border-radius: 16px;
padding: 32px;
box-shadow: 0 20px 60px rgba(0,0,0,0.3);
}
h1 {
text-align: center;
color: #333;
margin-bottom: 24px;
font-size: 28px;
}
.input-area {
display: flex;
gap: 8px;
margin-bottom: 20px;
}
#taskInput {
flex: 1;
padding: 12px 16px;
border: 2px solid #e0e0e0;
border-radius: 8px;
font-size: 16px;
transition: border-color 0.3s;
}
#taskInput:focus {
outline: none;
border-color: #667eea;
}
#addBtn {
padding: 12px 24px;
background: #667eea;
color: white;
border: none;
border-radius: 8px;
font-size: 16px;
cursor: pointer;
transition: background 0.3s;
}
#addBtn:hover {
background: #5568d3;
}
.filter-buttons {
display: flex;
gap: 8px;
margin-bottom: 20px;
}
.filter-btn {
flex: 1;
padding: 8px 16px;
background: #f5f5f5;
border: 2px solid #e0e0e0;
border-radius: 8px;
cursor: pointer;
transition: all 0.3s;
}
.filter-btn.active {
background: #667eea;
color: white;
border-color: #667eea;
}
#taskList {
list-style: none;
}
.task-item {
display: flex;
align-items: center;
gap: 12px;
padding: 16px;
background: #f9f9f9;
border-radius: 8px;
margin-bottom: 8px;
transition: all 0.3s;
}
.task-item:hover {
background: #f0f0f0;
transform: translateX(4px);
}
.task-item.completed .task-text {
text-decoration: line-through;
color: #999;
}
.task-text {
flex: 1;
font-size: 16px;
}
.delete-btn {
padding: 6px 12px;
background: #ff4757;
color: white;
border: none;
border-radius: 6px;
cursor: pointer;
transition: background 0.3s;
}
.delete-btn:hover {
background: #e84118;
}
.empty-state {
display: none;
text-align: center;
padding: 40px;
color: #999;
}
@media (max-width: 600px) {
.container {
padding: 20px;
}
h1 {
font-size: 24px;
}
}
コードの特徴
- シンプルな構造:フレームワーク不使用で理解しやすい
- データ永続化:LocalStorageでブラウザに保存
- レスポンシブ対応:スマホでも快適に使える
- XSS対策:入力値をエスケープ処理
4. アプリの公開方法:デプロイまでの流れ
作成したTo-Doアプリを実際にインターネット上で公開する方法を紹介します。
方法1:GitHub Pagesで無料公開
手順:
-
GitHubアカウント作成
- https://github.com にアクセスして登録
-
リポジトリ作成
- 「New repository」をクリック
- リポジトリ名:
todo-app
(任意) - Public を選択
-
ファイルをアップロード
index.html
、style.css
、script.js
をアップロード
-
GitHub Pages有効化
- Settings → Pages
- Source: Deploy from a branch
- Branch: main → Save
-
公開完了
- 数分後、
https://ユーザー名.github.io/todo-app/
でアクセス可能
- 数分後、
方法2:Netlifyでワンクリックデプロイ
手順:
-
Netlifyアカウント作成
- https://www.netlify.com にアクセス
-
ドラッグ&ドロップでデプロイ
- ファイル3つをフォルダにまとめる
- Netlify Drop にドラッグ&ドロップ
-
即座に公開
- 自動的にURLが発行される
- 独自ドメインも設定可能
方法3:Vercelで高速デプロイ
特徴:
- Next.jsやReactアプリに最適
- 自動ビルド&デプロイ
- 無料プランでも高性能
手順:
- GitHubと連携
- リポジトリを選択
- 自動デプロイ開始
5. 仕様書なき開発の落とし穴:バイブコーディングのリスク
AIペアプログラミングは非常に便利ですが、重大なリスクがあることを理解しておく必要があります。
リスク1:仕様の曖昧さによる機能不全
問題点:
- プロンプトだけでは詳細な仕様が伝わらない
- 「タスク管理アプリ」と言っても、求める機能は人それぞれ
- 改修を重ねるうちに、当初の目的と異なるシステムになる
具体例:
最初の要望:「シンプルなTo-Doアプリ」
↓ 改修1:「期限機能を追加して」
↓ 改修2:「カテゴリー分けできるようにして」
↓ 改修3:「共有機能も欲しい」
↓ 結果:複雑で保守不可能なコードに
リスク2:セキュリティの脆弱性
AIが生成したコードには、セキュリティ上の問題が潜んでいることがあります。
よくある脆弱性:
-
XSS(クロスサイトスクリプティング)
- ユーザー入力をそのまま表示
- 悪意あるスクリプトの実行リスク
-
認証・認可の不備
- パスワードの平文保存
- セッション管理の不適切な実装
-
SQLインジェクション
- データベース操作の脆弱性
- 情報漏洩のリスク
-
APIキーの露出
- GitHubに秘密鍵をコミット
- フロントエンドに認証情報を埋め込み
リスク3:技術的負債の蓄積
問題点:
- コードの構造が一貫しない
- テストコードがない
- ドキュメントがない
- 他の開発者が理解できない
結果:
- バグ修正に膨大な時間がかかる
- 機能追加が困難になる
- 最終的にフルリライトが必要に
リスク4:スケーラビリティの欠如
問題点:
- 小規模では動くが、大規模では破綻
- パフォーマンス問題が後から発覚
- データ量増加に耐えられない設計
具体例:
- To-Doが1000件になるとブラウザがフリーズ
- 同時アクセスが増えるとサーバーダウン
- データベース設計が不適切で検索が遅い
6. MVP開発と仕様駆動開発:プロに任せるべき理由
AIツールでプロトタイプを作ることはできますが、本格的なシステム開発には専門知識が必要です。
当社の強み:MVP開発
MVP(Minimum Viable Product)とは?
- 最小限の機能で市場検証を行うプロダクト
- 素早くリリースし、ユーザーの反応を見る
- 無駄な機能開発を避け、コストを最適化
当社のMVP開発プロセス:
-
要件ヒアリング
- ビジネス目標の明確化
- ターゲットユーザーの特定
- 必須機能と優先順位の決定
-
仕様設計
- 画面設計・UI/UX設計
- データベース設計
- システムアーキテクチャ設計
-
迅速な開発
- AIツールも活用した効率的な実装
- ただし、コードレビューと品質管理は徹底
- セキュリティチェック実施
-
テスト&リリース
- 自動テストの実装
- 本番環境へのデプロイ
- モニタリング体制の構築
当社の強み:仕様駆動開発
仕様駆動開発とは?
- 明確な仕様書をベースに開発を進める手法
- 後戻りを防ぎ、開発コストを削減
- 保守性・拡張性の高いシステムを実現
仕様書の重要性:
項目 | 仕様書あり | 仕様書なし(バイブコーディング) |
---|---|---|
開発の方向性 | ブレない | 都度変わる |
バグの発見 | 早期発見 | 後から発覚 |
改修コスト | 低い | 高い |
セキュリティ | 設計段階で対策 | 後付けで対応 |
引き継ぎ | スムーズ | 困難 |
当社が作成する仕様書:
- 要件定義書
- 機能仕様書
- 画面設計書
- データベース設計書
- API仕様書
- セキュリティ要件書
なぜプロに任せるべきか?
1. セキュリティの確保
- OWASP Top 10 対策
- 個人情報保護法への対応
- 脆弱性診断の実施
2. スケーラビリティの実現
- 将来の成長を見据えた設計
- パフォーマンス最適化
- クラウドインフラの適切な選定
3. 保守性の高いコード
- コーディング規約の遵守
- 自動テストの整備
- 継続的インテグレーション(CI/CD)
4. 法的リスクの回避
- ライセンス管理
- 著作権の確認
- 契約書・利用規約の整備
5. コストの最適化
- 技術的負債を生まない設計
- 長期的な運用コストの削減
- 無駄な作り直しを防ぐ
まとめ:AIツールとプロの開発の使い分け
AIペアプログラミングが向いているケース
✅ 個人的な学習・スキルアップ
✅ 社内ツールのプロトタイプ作成
✅ 小規模な静的サイト
✅ 概念実証(PoC)
プロに依頼すべきケース
✅ 顧客情報を扱うシステム
✅ 金銭取引が発生するサービス
✅ 複数人で利用する業務システム
✅ 長期運用が前提のサービス
✅ セキュリティが重要なシステム
当社にご相談ください
「AIで作ってみたけれど、このままで大丈夫?」
「プロトタイプはできたけど、本番環境にするには?」
「セキュリティが心配…」
そんな不安をお持ちの方は、ぜひ当社にご相談ください。
当社のサービス
- MVP開発支援:アイデアを素早く形にします
- 仕様駆動開発:明確な設計でブレない開発
- コードレビュー:既存コードの問題点を洗い出し
- リファクタリング:保守性の高いコードに改善
- セキュリティ診断:脆弱性を徹底チェック
相談受付中
まずはお気軽にお問い合わせください。
経験豊富なエンジニアが、あなたのプロジェクトを成功に導きます。
お問い合わせ: お問い合わせはこちら

西村 力也
代表取締役
2002年からWeb制作・システム開発に従事。React、Next.js、TypeScriptを中心としたモダンなフロントエンド開発の専門家。AI検索最適化(AIO)の先駆者として、ChatGPT、Perplexity等のAI検索エンジン対応を推進。三重県津市を拠点に、東海地方の企業様のデジタル変革を支援しています。
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